第165章:馬場輝が見つかった

馬場絵里菜は足を止めて振り返ると、林駆が自分に向かって早足で近づいてくるのが見えた。

少し驚いた。林駆はまだ入院しているはずではなかったか?

馬場絵里菜は林駆の後ろを見た。黒いベンツが停まっており、スーツを着た運転手が車の横に立ち、手にはスクールバッグを持っていた。明らかに林駆を退院させに来たようだった。

「クラスメート?」細田登美子が疑問を投げかけた。

馬場絵里菜が頷いたが、言葉を発する前に、林駆が近くまで来ていた。

「おばさん、こんにちは」馬場絵里菜の母親に会ったことはなかったが、林駆は礼儀正しく挨拶をした。

馬場絵里菜の目元が細田登美子によく似ていたので、二人の関係を推測するのは難しくなかった。

細田登美子は微笑んで頷いた。傍らの馬場絵里菜は眉をひそめながら尋ねた。「退院するの?」