金髪の少年はその言葉を聞いて、椅子から滑り落ちそうになった。
「い、いいです……」金髪の少年は震える心で、明らかに馬場絵里菜を悪魔のような存在として見ていた。
馬場絵里菜は目を転がし、心の中で「こんなに臆病なのに、さっきは私を守ろうとして飛び出してきたなんて」と思った。
しかし、だからこそ、馬場絵里菜は彼を見捨てるわけにはいかなかった。
「ぐずぐずしないで、私について来なさい」馬場絵里菜は無駄話をする気がなく、金髪の少年の服を引っ張って路上のタクシーに乗り込んだ。
道中で馬場絵里菜は、金髪の少年の本名が豊田拓海で、東京の西花町出身の17歳、まだ未成年だということを知った。
若くして働きに出ているということは、家庭環境が良くないに違いない。しかし、馬場絵里菜を驚かせたのは、豊田拓海の家庭環境が自分の家とあまりにも似ていることだった。