その時、スターライトバーから二つ角を曲がったところの屋台。
鍋から湯気が立ち上り、元宝ほどの大きさのワンタンが次々と茹で上がり、パクチーと干しエビを振りかけ、たっぷりの自家製ラー油をかけると、思わず涎が出てくる。
屋台には二、三組の客がいて、その中の一組が馬場絵里菜だった。
バーを出て、夜風に当たると、自分の拳で血まみれにした顔を思い出し、馬場絵里菜は胃が激しくむかつき、電柱に寄りかかって止めどなく吐き続けた。
バーの中で暗い表情で容赦なく暴力を振るった人物は姿を消し、完全に冷静を取り戻した馬場絵里菜は、再びあの穏やかな表情の少女に戻っていた。
山本陽介が作った夕食を全て吐き出してしまい、吐き終わった瞬間、お腹が空っぽになって、少し空腹を感じた。
熱々のワンタンを何個か立て続けに食べ、馬場絵里菜は目を上げ、血の気のない金髪の男と、彼の前の手つかずのワンタンを見た。