馬場絵里菜がなぜそれほどの自信を持っているのか分からなかったが、彼女の落ち着いた横顔を見て、豊田拓海は何か言いかけて止め、結局言葉を飲み込んだ。
結局これは二言三言で解決できる問題ではなく、心配ではあったものの、具体的な解決策もなかった。
第一病院。
細田登美子が入院してからもう一週間近くが経っていた。この数日間は手術前の通常検査を行い、宮原重樹は毎日時間通りに病室を訪れ、細田登美子の状態を確認していた。そして、病院の腫瘍外科に突然赴任してきた首席専門医について、院内でも話題になっていた。
宮原重樹は冷たい表情で病院の廊下を足早に通り過ぎていった。白衣を身にまとい、それだけで神聖で侵すべからざる雰囲気を醸し出していた。五メートル以内の温度が急降下したかのように、彼に夢中になっている病院の看護師たちも遠くから眺めるだけで、積極的に近づいて声をかける勇気はなかった。