待つ時間はいつも長く感じる。
午後三時過ぎになってようやく、手術室のドアの赤いランプが消えた。
ドアが開き、二人の看護師がストレッチャーを押して出てきた。細田登美子は目を閉じたまま、動かずに横たわっていた。
馬場絵里菜、馬場輝、古谷隆明の三人は急いで近寄った。看護師は彼らを見て「ご家族の方、ご安心ください。手術は非常に順調でした」と言った。
皆はほっと一息つき、そして宮原重樹がマスクを外しながら出てくるのを見た。馬場輝は興奮した様子で前に出て感謝の言葉を述べた。「渡辺ドクター、本当にありがとうございました」
そう言いながら、目に涙が浮かんでしまった。
渡辺ドクターが大丈夫だと言い続けていても、息子として完全に安心することはできなかった。今、手術が成功し、馬場輝はようやく心の重荷が下りた気がして、感動で涙が出そうになった。