馬場絵里菜も惜しみなく頷いて褒めた。「美味しいわ。外のレストランよりずっと美味しい」
「へへ」褒められて、豊田拓海は得意げな様子を見せた。
馬場絵里菜はご飯を二杯も食べ、その後スープも一杯飲んで、豊田拓海の面子を立てた。
お腹いっぱいになった馬場絵里菜は後ろに寄りかかって椅子に座り、豊田拓海を横目で見ながら言った。「母が明日手術なの。だから仕事のことは急がなくていいわ。二、三日経ったら、私が手配するから」
豊田拓海もこの時箸を置き、馬場絵里菜を見つめながら唇を噛んでからゆっくりと口を開いた。「実は自分で探してもいいんです。東京は大きいし、仕事を見つけるのはそんなに難しくないと思います」
「私が探すわ」馬場絵里菜は断固とした口調で、拒否を許さなかった。
豊田拓海は学歴がなく、まだ未成年だった。この時代、児童労働も珍しくはないが、ほとんどが環境の乱れた夜の店か、小さな食堂のような場所で、労働環境はさておき、給料が非常に低い。豊田拓海のような若くて体力のある労働力は、今の下層社会では最も安価なものだった。
「仕事に何か希望はある?」馬場絵里菜が尋ねた。
豊田拓海は考えもせずに首を振り、にやりと笑って「特にないです。お金が稼げればいいです」
自分の条件と能力をよく理解している豊田拓海は、学歴も技能もない自分には仕事を選ぶ余裕がないことを知っていた。
しかし馬場絵里菜は彼の言葉を完全には受け入れず、心の中で考えを巡らせた。おそらくこの件は白川昼に相談して解決する必要があり、会社に学べる職位があるかどうか確認しようと思った。
豊田拓海はまだ若く、今から技術を学び始めても遅くはない。そして馬場絵里菜には豊田拓海が機転が利いて賢い人間だということがわかっていた。最も重要なのは、正直で優しい性格だということだった。
馬場絵里菜は意図的に彼を助けたいと思っていた。
日曜日、細田登美子の手術日。
馬場絵里菜は早朝から病院に駆けつけた。この件について細田登美子は意図的に隠しており、細田芝子一家には知らせていなかった。老夫婦の方にももちろん知らされていない。そのため今日病院で付き添っているのは馬場絵里菜と馬場輝の二人の子供だけだった。
午前11時、すべての準備が整った。