馬場絵里菜も惜しみなく頷いて褒めた。「美味しいわ。外のレストランよりずっと美味しい」
「へへ」褒められて、豊田拓海は得意げな様子を見せた。
馬場絵里菜はご飯を二杯も食べ、その後スープも一杯飲んで、豊田拓海の面子を立てた。
お腹いっぱいになった馬場絵里菜は後ろに寄りかかって椅子に座り、豊田拓海を横目で見ながら言った。「母が明日手術なの。だから仕事のことは急がなくていいわ。二、三日経ったら、私が手配するから」
豊田拓海もこの時箸を置き、馬場絵里菜を見つめながら唇を噛んでからゆっくりと口を開いた。「実は自分で探してもいいんです。東京は大きいし、仕事を見つけるのはそんなに難しくないと思います」
「私が探すわ」馬場絵里菜は断固とした口調で、拒否を許さなかった。
豊田拓海は学歴がなく、まだ未成年だった。この時代、児童労働も珍しくはないが、ほとんどが環境の乱れた夜の店か、小さな食堂のような場所で、労働環境はさておき、給料が非常に低い。豊田拓海のような若くて体力のある労働力は、今の下層社会では最も安価なものだった。