電話を切ると、新田愛美は窓の外を見つめ、その極めて美しい顔の下に、誰も知らない恐ろしさを秘めていた。
幼い頃から、自分が普通の人間とは違う存在だと知っていた。鏡を見るたびに、不思議と自分の両目を見つめて呆然としていた。
ある日、八歳の新田愛美は鏡の中で黒色から碧緑色に変わった瞳を見つめ、鏡の中の自分に向かって淡い微笑みを浮かべた。
恐怖も驚きもなく、それは本当の自分を見つけた時の安堵感だった。
彼女は心の中で、これこそが本当の自分だと認識していた。
十一歳の時、捨仙門の予知者である白川昼に見出され、ようやく自分が何故特別なのかを知った。彼女は捨仙十二衛の第五位、碧眼の狐の転生であり、前世の能力を受け継いでいたのだ。
十一歳の新田愛美は、すでに自由自在に瞳の色を変えることができた。