電話越しに、白川昼は言葉に詰まり、そして軽く笑い声を漏らした。「誰もいないよ、私と山本陽介だけだ」
直接会っているわけではないが、白川昼の心の中には少なからず後ろめたさがあった。
彼は元々嘘をつくのが得意ではなく、さらに重要なのは、今電話の向こう側にいる人物は、そう簡単には騙せない相手だということだ。
案の定、新田愛美はそれを聞くと表情を引き締め、容赦なく彼の嘘を暴いた。「ごまかさないで、本当のことを言いなさい。門主を見つけたんでしょう?」
白川昼が返事をする前に、新田愛美は続けた。「前から思っていたけど、あなたはクース王子なのに、なぜクースにいないで突然日本に来たのか。しかも来てからも私に会いに来ないで、いきなり東京に行って、今まで離れようともしない。絶対何か隠しているわ!」
新田愛美の確信に満ちた口調は、白川昼の耳には更に後ろめたさを感じさせた。
捨仙十二衛の第五位、碧眼の狐・新田愛美は、さすがに狡猾な狐のように、電話越しでも彼が嘘をついていることを見抜いていた。
しかし後ろめたさはあるものの、門主から他の人には言うなと命じられている以上、今は強情を張ってでも認めるわけにはいかない。白川昼は「へへ」と空笑いを二つ三つ浮かべ、平静を装って口を開いた。「ないよ、ない。誰に隠し事をしても、小狐のあなたには隠せないでしょう?本当に用事があるんだ。五月の連休明けには戻るから、その時に直接謝罪するよ、いいかな?」
言葉の最後には、思わず声のトーンを落とし、相談するような口調になっていた。
お嬢様、もう聞かないでください……
しかし白川昼がそうすればするほど、新田愛美の心の中での確信は強まっていった。
この白川昼め、予知者として門主を感知できる能力を利用して、一人で門主の前で働いて気に入られようとしているのに、私には言わないつもり?
甘い考えね!
すぐさま冷笑し、威圧的な口調で言った。「ふん、本当のことを言わないなら、大司祭様に言いつけるわよ!」
「やめて!」白川昼は'大司祭'という三文字を聞いた瞬間、驚いて冷や汗が出てきて、慌てて口を開いた。「そんな冗談は言わないでください。大司祭様が知ったら、他の人みんなに知られてしまいます!」
焦って、白川昼はついに本音を漏らしてしまった!