「マカオロイヤルカジノへようこそ!」
一行がエレベーターを出ると、制服姿のスタッフが出迎えに来た。
白川昼は一行の中で最も気品があり、容姿も際立っていて、一目で並の身分ではないことが分かった。スタッフは本能的に白川昼に視線を向けた。
「皆様、こちらへどうぞ!」
最上階の廊下の突き当たりには、金色に輝く大きな扉があり、その外には無線機を装備した黒いスーツ姿のスタッフが8人も配置されていた。
扉がゆっくりと開くと、ロイヤルカジノ内の喧騒が一気に溢れ出し、瞬く間に外の世界を飲み込んだ。馬場絵里菜は初めてアジア最高峰のカジノを目の当たりにした。
中に入ると、その広さに驚かされた。天井から吊るされたクリスタルシャンデリアだけでも十数個あり、チップ交換カウンターは20メートル以上もの長さがあった。カジノ内は人で溢れ、男性たちは正装し、女性たちは化粧も完璧で、イブニングドレス姿。至る所にギャンブル設備がなければ、馬場絵里菜は高級な社交パーティーに迷い込んだと思うところだった。