第243章:マカオロイヤルカジノ

「マカオロイヤルカジノへようこそ!」

一行がエレベーターを出ると、制服姿のスタッフが出迎えに来た。

白川昼は一行の中で最も気品があり、容姿も際立っていて、一目で並の身分ではないことが分かった。スタッフは本能的に白川昼に視線を向けた。

「皆様、こちらへどうぞ!」

最上階の廊下の突き当たりには、金色に輝く大きな扉があり、その外には無線機を装備した黒いスーツ姿のスタッフが8人も配置されていた。

扉がゆっくりと開くと、ロイヤルカジノ内の喧騒が一気に溢れ出し、瞬く間に外の世界を飲み込んだ。馬場絵里菜は初めてアジア最高峰のカジノを目の当たりにした。

中に入ると、その広さに驚かされた。天井から吊るされたクリスタルシャンデリアだけでも十数個あり、チップ交換カウンターは20メートル以上もの長さがあった。カジノ内は人で溢れ、男性たちは正装し、女性たちは化粧も完璧で、イブニングドレス姿。至る所にギャンブル設備がなければ、馬場絵里菜は高級な社交パーティーに迷い込んだと思うところだった。

プロフェッショナルな笑顔を浮かべたウェイターたちが、トレイを手に群衆の中を縫うように歩き回り、客に無料のドリンクと軽食を提供していた。

扉が閉まると、内部の喧騒は一瞬で遮断され、外の廊下は静けさを取り戻した。まるで二つの世界のようだった。

「どうだ?」白川昼は眉を上げて微笑み、馬場絵里菜に尋ねた。

「まあまあですね!」馬場絵里菜も微笑んで答えた。

山本陽介はすでに手が疼いていたようで、すぐさま声を上げた。「チップを換えてくる!」

言い終わるや否や、二人の返事も待たずにチップ交換所へ足早に向かっていった。

馬場絵里菜はその様子を見て、思わず白川昼に尋ねた。「山本さんは、こういう場所が好きなんですね?」

白川昼はその言葉を聞いて、包み隠さず頷いた。「山本は多才なんだよ」

馬場絵里菜は「多才」という言葉を噛み締めながら、思わず笑いを漏らした。

しかし白川昼は続けた。「ただし、山本とは約束がある。今回のマカオ滞在で勝った金は、全て門主のものになる」

馬場絵里菜が断りかける前に、白川昼は急いで付け加えた。「元手は私たちが取っておく。勝った分は、受け取ってくれないか?」

どうせ他人のものだし。