会社を出た後、馬場絵里菜は家に帰らず、直接タクシーに乗った。
今日はゴールデンウィーク最終日で、以前マカオにいた時に古谷始から電話があり、早めに帰ってきたら連絡して一緒に食事をしようと言われていた。
明日から学校が始まるので、昨夜馬場絵里菜から古谷始に電話をかけ、今夜一緒に食事をすることになった。
場所は古谷始が選んだもので、豪華なホテルでもなく、ロマンチックな西洋料理でもなく、世田谷区にある静かな日本料理店だった。
料理店は大きくないが、とても清潔で、二人のウェイトレス以外には店主夫婦だけがいた。
店内のホールにはテーブルが三つしかなく、周りには畳の半個室が数部屋あった。半個室と呼ぶのは、これらの個室には扉がないからだ。
店は小さいが、繁盛していて、馬場絵里菜が到着した時には古谷始が既に来ていた。