一方、馬場依子と吉田清水、鈴木玲美は一緒に座っており、三人の他に、先ほど馬場依子と仲直りした鈴木由美もいた。
二人が突然仲直りしたことは、吉田清水と鈴木玲美の二人にとっても意外だったが、二人とも察して質問を控えた。以前起きたことは決して良いものではなかったからだ。
「依子、オリンピック数学コンテストに参加するの?」
食事中、鈴木由美が何気なく尋ねた。
馬場依子は軽く頷き、笑顔を浮かべながら謙虚な口調で答えた。「挑戦してみたいと思って。参加することに意義があるし、順位が取れなくても構わないけど、もし入賞できたら、大学入試で加点されるしね!」
学校の宣伝ビデオのことには一切触れなかった。
「依子なら絶対大丈夫よ!」吉田清水は即座に声を上げた。
鈴木玲美も頷いて支持を示した。「そうよ依子、前回の月例テストで数学満点だったもの、きっと問題ないわ。」
二人の褒め言葉を聞いて、馬場依子は内心とても満足していたが、表情には出さず、ただ笑って言った。「みんなは応募しないの?チャレンジしてみる価値はあるわよ、意外とできるかもしれないし!」
吉田清水と鈴木玲美は顔を見合わせ、それぞれ首を振った。
二人も1組の生徒で、成績は当然優秀だったが、学力優秀者が集まる1組の中では、二人の順位は中下位程度だった。
鈴木由美に至っては、前回の月例テストで組分けの試験すら受けておらず、鈴木強が学校理事の友人に頼んで1組に無理やり入れてもらったのだった。
馬場依子は彼女たちの表情を見て、自分たちにはチャンスがないことを理解していることが分かり、優越感が自然と湧き上がってきた。
周りのクラスメートたちもこの件について議論しており、成績の良い生徒の中には挑戦してみたいと思う者もいて、大半は大学入試での加点を目的としていた。
その時、第二中学校の正門の外で、サファイアブルーのアストンマーティンのスポーツカーが轟音を響かせながら校内に突っ込んできた。エンジン音は食堂にいる生徒たちにまで聞こえた。
門衛の警備員のおじいさんは目の前を青い光が走り過ぎるのを見て、反応した時には慌てて警備室から飛び出してきた。「おい!車は入れないぞ!」
叫び声は轟くエンジン音にすぐに飲み込まれ、50歳近い門衛のおじいさんは仕方なく走って追いかけた。