林駆は驚いた表情を浮かべ、馬場絵里菜はそれを見て思わず笑みがこぼれた。
「嘘なんかつかないわよ!」馬場絵里菜は眉を上げ、落ち着いた様子で言った。「本当に受験したいの。」
林駆:「……」
林駆は一瞬黙り込んだ。自分の成績も悪くないとはいえ、今はまだ高校1年生で、2年後のことは分からないし、日本一の大学を受験しようなんて考えたこともなかった。
たとえ考えたとしても、合格できるかどうか分からない。
しかし今、馬場絵里菜がこんなにも確信を持って京都大学を受験すると告げられ、林駆の心の中にも不思議と衝動が湧き上がってきた。
彼女と一緒に京都大学を受験したいと。
林駆が黙って考え込んでいると、馬場絵里菜に腕を引っ張られた。「早く、私たちの番よ!」
林駆は馬場絵里菜に1ヶ月分のランチを奢ると約束していた。1ヶ月の期限は過ぎたが、先月は別荘の火災の件で1週間以上学校を休んでいた。馬場絵里菜はそれをしっかり覚えていて、林駆に未払い分も支払うように言った。
林駆は当然何も言えず、この食事も彼の支払いだ!
食事を受け取ると、馬場絵里菜は食事トレイを持って高橋桃と夏目沙耶香のところへ合流し、林駆は藤井空と高遠晴のところへ向かった。
「二人とも先ほど何をこそこそ話してたの?」
席に着くなり、夏目沙耶香は興味津々な様子で近寄ってきた。
馬場絵里菜は今やはっきりと分かった。自分と林駆のことについて、沙耶香は誰よりも熱心だった。
「誰がこそこそ話してたって!」馬場絵里菜は目を回し、相手にせずにジャガイモを一切れ口に運んだ。
「私と桃ちゃんが見たのよ。二人で列に並びながらずっとひそひそ話してたじゃない。認めないの!」夏目沙耶香は目を見開いて馬場絵里菜を見つめた。「もしかして二人とも既に内緒で付き合ってるの?地下恋愛?スリルを求めてるの?」
「お姉さん!スリルって何よ!」馬場絵里菜は思わず笑ってしまった。「あなたは女優なの?それとも脚本家?そんなに創作が得意なら転職したら?」
「もういいわ、沙耶香」高橋桃がここで適切に口を挟んだ。「絵里菜が本当に林駆と付き合うことになったら、私たちには隠さないわ。あなたが余計な心配をすることないわよ。」