第317章:センチュリーグループ

心の中で井上裕人をもう一度罵った!

彼は見栄を張って一時的に気持ちよかったかもしれないが、自分が後始末をしなければならない!

夏目沙耶香は馬場絵里菜が説明しないのを見て、追及するつもりもなかった。実際、馬場絵里菜とあのイケメンの関係よりも、あの人物の身分の方が気になっていた。

一瞬にして一つの会社を消滅させる能力は、まさに恐ろしいほどだった。

そして馬場絵里菜も、沈黙を貫くつもりだった。数日経てば、みんながこの件を忘れてくれることを願うだけだった。主に、彼女と井上裕人には本当に何の関係もなく、これは全て井上さんが気まぐれで起こしたことで、彼女とは何の関係もないのだ!

そう考えながら、馬場絵里菜は周りの視線を無視し、気にしないことにした。

昼時の食堂。

林駆は今日おかずを四品取った。

彼の食事トレイの料理を見て、藤井空と高遠晴は思わず目を合わせ、藤井空が言った:「今日は食欲旺盛だな、悲しみを食欲に変えたのか?」

高遠晴も眉をひそめ、明らかに林駆が噂に影響されることを心配していた。

林駆はそれを聞いて、平然と口を開いた:「大丈夫だよ、心配しないで。」

藤井空:「本当に大丈夫?」

林駆は動きを止め、二人を見上げた:「高遠の言う通りだ。今は自分の立場をはっきりさせないといけない。馬場絵里菜に影響されすぎてはいけない。」

「そう考えられるなら良かった。」高遠晴は眼鏡を直しながら:「それに馬場絵里菜も何も認めていないし、みんなが噂しているだけだしね。」

林駆は軽く微笑み、頷いた。

そうだ、馬場絵里菜はあの人が彼女の彼氏だとは認めていない。馬場絵里菜が自分の口で言わない限り、彼は信じないし、影響されることもない。

……

放課後、馬場絵里菜は直接タクシーでセンチュリーグループ本社へ向かった。

豊田剛のセンチュリーグループは東京でも百年近い歴史があり、不動産業界では誰もが知る大手企業だ。その企業力は馬場家には及ばないものの、東京不動産業界における馬場家の最大のライバルだった。

そしてセンチュリーグループは不動産以外にも、建材や工事などの分野にも進出しており、馬場家やセンチュリーグループのような大手不動産会社は、企業規模が一定の段階に達すると、自社で建材会社と工事チームを設立し、自社生産・販売を実施するのが一般的だった。