第318章:協力

馬場絵里菜は微笑みを返し、直接口を開いた。「こんにちは、絵里菜と申します。六時に社長とお約束があります」

豊田剛は明らかに受付に事前に連絡していた。受付係は馬場絵里菜が名乗った名前を聞くと、すぐに理解した表情を見せ、ロビーの右側を指差した。「エレベーターはあちらです。そのまま21階までお上がりください。到着されましたら、社長の秘書がご案内いたします」

「ありがとうございます」

エレベーターに乗ると、白川昼は我慢できずに口を開いた。「このビルディング、ダサすぎだな」

馬場絵里菜は笑うだけで何も言わなかった。今どきの高層ビルの多くがそうで、デザイン性に欠け、四角四面の高層ビルで、せいぜい屋上に装飾が施されている程度だ。結局のところ、これらのビルは前世紀に建てられたもので、当時の美的感覚はそうだったのだ。今から見ると確かに美しくない。

本社ビルとしては、少し堅苦しすぎるかもしれない。

エレベーターは21階に直行し、ドアが開くと、スーツ姿の女性秘書がすでにエレベーターホールで待っていた。

豊田剛は今日の面会相手が未成年の少女だと秘書に事前に伝えていたものの、秘書は馬場絵里菜を見て思わず驚きを隠せなかった。

「こちらへどうぞ!」

秘書の驚きは一瞬で消え、すぐにプロフェッショナルな笑顔で先導した。

秘書について社長室まで行くと、秘書は直接ドアを開けた。「社長、お客様がお見えになりました」

そう言うと、秘書は体を横に向け、案内するジェスチャーをした。馬場絵里菜はそれを見て一歩前に進んだ。

「絵里菜!」

応接スペースのソファから、豊田剛が笑顔で立ち上がって迎えた。

馬場絵里菜も笑顔で挨拶した。「豊田おじさん!」

二人は握手を交わし、豊田剛は白川昼に視線を向けた。「白川さん、また会えましたね!」

白川昼も軽く頷いた。「こんにちは!」

馬場絵里菜と白川昼の他に、一号プロジェクトの中核メンバー8名も全員揃っていた。豊田剛は全員をソファに案内し、秘書はすぐにコーヒーを入れて持ってきた。

豊田剛は一同を軽く見渡してから、馬場絵里菜に笑いかけた。「君のプロジェクトは完全な企画書ができているようだね!」

馬場絵里菜も謙遜せずに、頷いて答えた。「だからこそ、豊田おじさんに協力をお願いしに来たんです!」