第316章:心が疲れる

馬場絵里菜は言葉を聞いて、思わず固まった。この件だけで?

昨日彼女が手を出したのは廊下で皆の目の前だったし、隠すつもりなんて全くなかった。

しかもこの件は昨日の昼休みに起きたことで、第二中学校のおしゃべり好きな連中なら、昨日の午後には噂が広まっているはずだった。

それに単なる喧嘩なのに、みんなの反応が大げさすぎるんじゃない?

人を殺したわけじゃないのに!

軽く頷いて、馬場絵里菜は正直に認めた。「この件だけで?」

「もちろん違うわ!」夏目沙耶香は目を見開いて、絵里菜に詰め寄った。「この件で佐藤課長に生徒指導室に呼ばれて、それで昨日昼にあのイケメンが来て、電話一本で田中奈々先輩の家が破産したって聞いたけど、本当なの?」

馬場絵里菜「……」

そういうことだったのか。

一気に謎が解けた。この件が広まれば、確かにみんなのこんな反応も納得できる。自分だって当時はかなり衝撃を受けたのだから。