第325章:私が贈ろう

馬場長生は驚いた。「東海不動産がセンチュリーグループに接触してきたのか?」

鈴木隆は頷いた。「どうやら、この二社は以前から繋がりがあったようですね。でなければ、東海不動産が比較検討もせずにセンチュリーグループの建材と施工チームを直接採用するなんて、業界では珍しいことですから」

「相手が動かしているのはどの土地だ?」馬場長生は尋ねた。

当時、東海不動産は二つの土地を落札していた。一つは港区の駅前で、立地は極めて良好。もう一つは世田谷区の学校群の間にあり、面積が非常に広大だった!

しかし、質問を投げかけた瞬間に馬場長生は気付いた。「駅前の土地に違いない。今は授業期間中だから、世田谷区の土地では工事を始められないはずだ!」

鈴木隆も同じように考えていた。

馬場長生は暫く考え込んだ。二社の突然の提携について、センチュリーグループのライバル企業である馬場家としては、当然危機感を覚えた。東海不動産が東京不動産業界に参入したばかりでセンチュリーグループを選んだことは、明らかに大樹の陰に寄り添う動きだった。

しかし馬場長生には理解できないことがあった。企業力で言えば、馬場家の方がセンチュリーグループより良い選択のはずなのに、東海不動産の責任者に一度も会えていなかった。

明らかに、馬場家は相手の協力候補には入っていなかった。

「この二社の動きをしばらく注視しろ。これから始まるプロジェクトの詳細も探れ。東海不動産がどれほどの波を起こせるか、見てやろう!」

馬場長生は冷気を漂わせながら、ビジネスの世界では決して敵に手加減をしないのだった。

……

午後の下校時、馬場絵里菜と高橋桃は笑い話をしながら、バス停へ向かって歩いていた。

「絵里菜、うちは来週引っ越すの。これからは下校時に一緒に乗れるのは半分の区間だけになるわ。世田谷区で降りなきゃいけないから!」高橋桃は彼女を見ながら言った。

馬場絵里菜は理解したように軽く微笑んだ。高橋家が買ったのは中古住宅で、すでに内装も整っているから、好きな時に引っ越せるのだ。

「うちはまだリフォーム中だから、もう少し待たないと引っ越せないわ」馬場絵里菜も気軽に言った。

高橋桃は唇を噛んだ。「足立区がいつ取り壊されるのか、補償金はいくらもらえるのかしら!」