馬場長生は驚いた。「東海不動産がセンチュリーグループに接触してきたのか?」
鈴木隆は頷いた。「どうやら、この二社は以前から繋がりがあったようですね。でなければ、東海不動産が比較検討もせずにセンチュリーグループの建材と施工チームを直接採用するなんて、業界では珍しいことですから」
「相手が動かしているのはどの土地だ?」馬場長生は尋ねた。
当時、東海不動産は二つの土地を落札していた。一つは港区の駅前で、立地は極めて良好。もう一つは世田谷区の学校群の間にあり、面積が非常に広大だった!
しかし、質問を投げかけた瞬間に馬場長生は気付いた。「駅前の土地に違いない。今は授業期間中だから、世田谷区の土地では工事を始められないはずだ!」
鈴木隆も同じように考えていた。
馬場長生は暫く考え込んだ。二社の突然の提携について、センチュリーグループのライバル企業である馬場家としては、当然危機感を覚えた。東海不動産が東京不動産業界に参入したばかりでセンチュリーグループを選んだことは、明らかに大樹の陰に寄り添う動きだった。