第341章:出納

細田部長はその言葉を聞いて思わず細田芝子を見つめ、一瞬考え込んでしまった。

社長の叔母さん……

細田部長は一時的に頭が混乱していた。結局のところ、彼女は細田芝子のことを全く知らず、彼女の専門分野も分からないため、軽々しく口を開くことはできなかった。

馬場絵里菜はその様子を見て、さらに言った。「技術職は無理だと思います。叔母は不動産業界の人間ではないので、もっと気楽で覚えやすい仕事はありませんか?給料は高くなくても、同じ部署の人と同じくらいで構いません。」

そう言いながらも、馬場絵里菜は心の中で分かっていた。東海不動産の従業員は、どのポジションでも叔母が服飾工場で稼ぐよりも多く稼げることを。

馬場絵里菜がそう言うと、範囲が一気に最小限まで絞られ、細田部長はすぐにアイデアが浮かび、急いで言った。「会社の経理部で出納係を募集しています。経験は必要ですが、業務の流れは複雑ではありません。以前やったことがなくても、他の人の指導があれば、すぐに覚えられます。」

馬場絵里菜はその言葉を聞いて、しばらく考え込んだ。

出納、出は支出を、納は収入を指し、具体的に言えば、出納の仕事は会社の現金、手形、有価証券の出入りを管理する仕事だ。

仕事の性質は楽だが、時々混乱することもあり、細かい心配りのできる人でないとミスを起こしやすい。

叔母は以前裁縫師で、仕事の性質も細かい注意力が必要だった。職種は違うが、この点では意外な共通点があった。

そして東海不動産は経理部と総務部以外は全て技術部門なので、そう考えると、経理部は確かに叔母に最も適している場所だった。

「会社の出納係の給料はいくらですか?」馬場絵里菜は尋ねた。

細田部長はすぐに答えた。「基本給が2,200元で、皆勤手当が200元、食事手当や交通手当などの各種手当は固定で、会社の全従業員が同じです。法定休日は休みで、週末の残業は給料が2倍、祝日は3倍になります。」

このように計算すると、基本給に皆勤手当と各種手当を加えると、月に3,000元近くになり、2002年の現在では、かなりの収入と言える。

さらに会社は祝日も休みで、残業がある場合は国の規定通り給料が倍増し、重要な祝日には多くの従業員福利もある。

馬場絵里菜は細田芝子を見上げて尋ねた。「叔母さん、どう思いますか?」