第345章:引き渡し(2)

細田芝子はベッドの横に座り、バッグから不動産権利証を取り出して進藤峰の横に置いた。「自分で見てみて」

進藤峰は手の動きを止め、不思議そうに尋ねた。「これは何?」

よく見てみると文字が目に入り、驚いて言った。「これは...これは不動産権利証?誰の?」

「私たちの家のよ!」細田芝子は今、どんな表情をすればいいのか分からず、ぼんやりと進藤峰を見つめながら言った。「絵里菜が会社を設立して、今日の午後に私を連れて行ったの。私に仕事も用意してくれて、この家も私たちにくれたのよ」

「ちょっと待って...」進藤峰は訳が分からない様子で細田芝子を見つめた。「何を言っているんだ...」

進藤峰が信じられないのは、この話が一度に信じられるようなものではないからだった。

絵里菜という14歳の少女が、会社を設立した?