馬場絵里菜は言葉を失い、林駆の方を振り向いたが、林駆は本を読むことに夢中で、何事もなかったかのような様子だった。
仕方なく笑みを浮かべながら、馬場絵里菜は席に戻って座った。この「愛情たっぷりの」朝食を返すことはしなかった。朝食を抜いていたのだから仕方ない。
この林駆のタイミングの良さといったら!
沙耶香はその様子を見て、彼女の側に寄り添い、面白そうな表情で言った。「林駆がついに動き出したみたいね!」
牛乳を飲んでいた馬場絵里菜は、眉をひそめて沙耶香を見た。「何が動き出したって?」
「あなたを追いかけることよ!」沙耶香は眉を上げた。「彼があなたのことを好きなの、知ってるでしょ!」
馬場絵里菜はそれを聞いて、大きく目を回した。「もう彼とその件について話したわ。私たち、無理なの」