第359章:数学コンクール校内選抜戦

「いいえ、大丈夫です」細田仲男は慌てて言った。「私は両親のことをよく分かっています。私があなたを好きなら、きっと彼らもあなたを受け入れてくれるはずです」

「それに、あなたはこんなに綺麗なのに、彼らがあなたを好きにならないはずがないでしょう?」

細田仲男は様々な言葉で中山玲奈をなだめ、ようやく彼女の機嫌が直った。

中山玲奈は泣き止んだものの、細田仲男を見つめながら尋ねた。「でも、あなたの息子はどうするの?私たち、これから一緒に暮らすことになるでしょう。私のことを受け入れてくれるか心配です」

息子の話題が出ると、細田仲男は心の中でため息をつき、表情も少し暗くなった。

離婚後、伊藤春は細田萌を連れて出て行った。細田梓時もこのことを知り、当然すぐには受け入れられず、そのために細田仲男と大喧嘩になった。

今では、もう三日間父親である彼と口を利いていない。

「もう少し待ってください。今この時期に君たちを会わせるわけにはいかない。子供は思春期で、気が短いんだ。今はまだ怒っているから」細田仲男は優しい声で中山玲奈に説明した。

今は軽率な行動は取れない。いつも自分を可愛がってくれた両親でさえ玲奈を受け入れられないのだから、息子はなおさらだろう。

中山玲奈も自分の立場をわきまえていた。彼女自身も細田仲男の子供に会うのが少し怖かった。結局は自分の子供ではないのだから、どうしても壁があるだろう。

「仲男さん、あなたには既に息子さんと娘さんがいることは分かっています。でも一つ聞きたいことがあります。私たちが結婚したら、二人の子供を作ってくれますか?」

中山玲奈は目を潤ませ、深い愛情を込めて細田仲男を見つめた。その姿は人の心を揺さぶるほど愛らしかった。

細田仲男の心はたちまち溶けてしまい、考えることもなく頷いて答えた。「もちろんさ。君が何人欲しいと言っても、そうするよ」

中山玲奈は顔を赤らめ、甘えるように言った。「もう、やだ」

彼女のその様子を見て、細田仲男は体のある部分が熱くなるのを感じ、目を輝かせながら言った。「今日は君の家に行こうか?」

中山玲奈は俯いたまま、艶めかしい様子で小さく頷いた。

車が発進し、すぐに足立区の薄暗い路地から姿を消した。

……

翌日、数学オリンピック校内予選が行われた。