第358話：不愉快な別れ

「ええ。」

お婆さんは素っ気なく返事をしたが、買い物には間違いなく自分の息子のお金を使ったことを心の中でよく分かっていた。

両親のこのような反応を見て、細田仲男はその場で面子が保てなくなった。この数年間、両親は彼を最も可愛がってきたのに、いつこんなに冷たい態度を取られたことがあっただろうか？

しかも、新しい恋人の前で。

その瞬間、細田仲男の表情も冷たくなり、明らかに自分のやったことが行き過ぎだとは少しも思っていなかった。

鈴木夕と細田繁は両者の間に挟まれ、思わず互いに目を合わせたが、誰も何も言わなかった。

食事は非常に重苦しい雰囲気で、誰も味わうことができなかった。

夕食が終わるとすぐに、細田仲男は中山玲奈を連れて、挨拶もせずに帰ってしまった。

鈴木夕はお婆さんの後片付けを手伝った後、やっと両親に挨拶をして帰った。

帰り道で、鈴木夕はついに我慢できなくなり、運転している細田繁に言った：「お兄さんの今日のやり方は少し行き過ぎよ。午前中に離婚して、午後に愛人を連れて実家に来るなんて。お父さんの表情を見て、私はびっくりして食事も満足にできなかったわ。」

細田繁も同感だった。自分でもろくでなしだと思っていたが、兄がこんなに無責任な行動をするとは思わなかった。

「父は義姉のことを気に入っていたから、当然新しい人をすぐには受け入れられないよ。兄貴も焦る必要はないのに、まさか離婚したばかりで再婚したいとでも思っているのかな？それじゃ、婚姻中の不倫で離婚したって皆に知られちゃうじゃないか！」と細田繁は言った。

鈴木夕は軽蔑するように首を振った：「お兄さんはきっと後悔する時が来るわ。伊藤春さんのような良い人なのに、どうしてこんなことができるのかしら。」

鈴木夕のような計算高い女性から見ても、伊藤春には拍手を送らざるを得なかった。

細田繁はその場で思わず冷笑した：「これからは俺たち二人も気まずくなるな。あの若い子は二十歳そこそこに見えるけど、兄貴は四十一歳だぞ。年の差がどれだけあると思う？もし本当に結婚することになったら、俺たちはどう呼べばいいんだ？お義姉さん？俺には言えないよ！」

鈴木夕は再び首を振り、もう考えたくないという様子だった。

一方、中山玲奈は車に乗るとすぐに泣き出し、とても悔しそうだった。