第362話:注目を奪う

菅野將の称賛に対し、馬場絵里菜は謙虚な態度で「先生のお褒めの言葉、ありがとうございます」と答えた。

クラスメイトたちも珍しく馬場絵里菜に敬意を抱いた。彼女の成績が良いのは今に始まったことではない。毎回のテストで学年の上位5位以内に入り、前回の月例テストでは1位を取ったのだから。

しかし、このオリンピック数学コンテストは通常のテストとは違う。参加した者なら誰でも問題の難しさを知っている。それなのに馬場絵里菜は満点に近い点数を取り、学校一位になったのだ。

認めざるを得ない実力だった。

馬場依子がクラスメイトからの賞賛を十分に味わう間もなく、馬場絵里菜に注目が集まってしまった。馬場絵里菜の成績と比べると、自分の4位なんて取るに足らないものに思えた。

またも馬場絵里菜か。なぜ自分は常に彼女より劣っているのか!