第373章:水雲亭

水雲亭クラブは、井上財閥によって1999年に設立され、東京で最も高級でプライベートな上流階級の社交場となっています。

パラダイスの経営方式とは異なり、水月亭ナイトクラブは高級会員のみを受け入れる東京唯一の会員制高級クラブで、会費は年間で計算され、会費だけでも年間1,200万円に達し、消費額は別途計算されます。

ここは億万長者たちが気晴らしに酒を飲む第一の選択肢であり、彼らの高貴な身分を象徴する場所でもあります。

今日、水月亭ナイトクラブの豪華な正面玄関の外では、巨大なクレーン車が稼働しています。

馬場絵里菜は少し離れた場所で、まぶしい陽光の中、目を上げて見ていました。作業員たちは井上グループの看板を外し、それをMグループのロゴに取り替えようとしていました。

傍らで、水雲亭の責任者である白川飛鳥が馬場絵里菜の横に立ち、同じように上を見上げていました。

井上財閥の看板が完全に取り外されるのを見て、白川飛鳥の目に感慨深げな色が浮かびました。

東京で最も豪華で高級なクラブが、今日正式にオーナーが変わり、そして彼女の隣にいる15歳にも見えない少女が、水雲亭の新しいオーナーとなったのです。

「中を案内してもらえますか?」馬場絵里菜は視線を戻し、白川飛鳥に向かって言いました。

白川飛鳥は白い女性用スーツを着て、耳まで届く短髪で、特に凛とした印象を与えていました。

言葉を聞いて頷きました。「こちらへどうぞ。」

ロビーに入ると、馬場絵里菜は白川飛鳥について歩きながら、つい周りを見回してしまいました。

さすが東京最高のクラブだけあって、ロビーは非常に広く、全体的な色調は金色を基調とし、その豪華さを際立たせていますが、決して派手過ぎることなく、すべてが程よい具合でした。

パラダイスのようなクリスタルシャンデリアで明るく照らされているのではなく、やや暗めの照明で、より落ち着いた内向的な雰囲気があり、プライバシーもより保たれています。

浮つくことなく、騒がしくもありません。

白川飛鳥は馬場絵里菜を何部屋かの個室に案内しました。その多くはスイートルームで、バーラウンジ、シアタールーム、スパ、室内ゴルフ場、そしてプライベートキッチンなど、一般のクラブにはない設備が一通り揃っていました。