今日は東京高校オリンピック数学コンテストが開催され、会場は第一中学に設定された。
東京には十四の高校があり、各校から五人ずつの出場枠があり、参加者は七十人に満たず、一つの階段教室で十分収容できた。
コンテストは午前十一時半まで続き、全員が真剣に取り組んでいたため、誰も途中退出することはなかった。時間が終了すると、全員が一斉に教室から出てきた。
「姉さん!」
馬場絵里菜が教室を出たところで、聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返ると、隼人だった。
進藤隼人も第一中学の校内選抜で一位の成績を収め、学校代表として参加していた。今日の試験会場では、二人は遠くから目が合っただけで、まだ言葉を交わしていなかった。
「どうだった?」馬場絵里菜は微笑みながら、いつものように従弟の頬をつねった。