第397章:井上雪絵

少女は手首に骸骨のブレスレットを付け、手に持った赤いスーツケースにも白い骸骨が印刷されていた。周りの人々は時折チラチラと横目で見ていたが、少女の容姿を見ると思わず感嘆の声を漏らした。

パンクな格好をしているものの、濃いメイクはせず、リップクリームを塗っているだけだった。

少女はアーモンド形の目と桃色の頬を持ち、肌は白く輝いていた。長くカールした睫毛は特に美しく、今日の服装と相まって、独特の雰囲気を醸し出していた。

兄の井上裕人のように、相反する存在でありながら、二つの気質を見事に表現していた。

この少女は他でもない、井上裕人の実の妹、井上雪絵だった。

この目立つ格好は、人混みの中ですぐにお爺さんの目に留まった。井上お爺さんは子供のように興奮して手を振り、呼びかけた。「雪絵!雪絵!」