第399章:いい場所を選んだね

話している間に、個室のドアが開かれた。

宮原重樹は黒い服装で、冷たい表情を浮かべながら部屋に入ってきた。山本陽介が最初に立ち上がり、「宮原様」と声をかけた。

白川昼も立ち上がり、宮原重樹を見ながら言った。「あなたが入ってきたら、エアコンいらないわね」

宮原重樹が細田登美子の病気を引き受けてから、白川昼は彼に会っていなかった。もう二ヶ月近く経っていた。

宮原重樹は白川昼の冗談に無反応で、新田愛美に視線を向けた。

新田愛美の知名度からすれば、テレビをあまり見ない宮原重樹でさえ彼女のことを知っていた。彼は眉をかすかにひそめ、明らかに白川昼の言う十二衛がこの女性なのかと疑問に思っていた。

新田愛美も自ら立ち上がった。目の前の人物は厳しい表情で、威厳のある雰囲気を持っており、白川昼の話していた宮原重樹そのものだった。新田愛美はすでに理解していた。

白川昼は状況を見て言った。「紹介するわ。死神の医者宮原重樹よ!」

そして、宮原重樹に向かって「碧眼の狐、新田愛美です!」と言った。

新田愛美は微笑んで挨拶を交わし、宮原重樹も頷いた。これで二人は知り合いとなった。

席に着くと、新田愛美は宮原重樹の寡黙さに気まずさを感じなかった。白川昼は何度も彼女に宮原重樹のことを話していたし、閻魔の手から人を奪い返すことができるこの死神の医者について、彼女はすでに心の準備ができていた。

新田愛美は笑みを浮かべながら言った。「つまり、今ここにいる人の中で、私だけが門主に会ったことがないということですね?」

言葉を発した瞬間、新田愛美は心の中で不公平さを感じた。

山本陽介でさえ門主に会ったことがあるのに、捨仙十二衛の一人である彼女が会ったことがないなんて。

最も重要なのは、彼女の順位が白川昼や宮原重樹よりも上だということだった。

白川昼は困ったように肩をすくめた。「仕方ないわ。門主の命令がなければ、私はあなたを彼女に会わせることはできないの」

宮原重樹もタイミングよく口を開いた。「門主の母が不治の病にかかったから、私は紹介されることができた。そうでなければ、機会はなかっただろう」

新田愛美は「……」

一時的に言葉を失った。二人の理由は十分納得のいくもので、反論の余地がなかった。