第410章:招待

「いいわよ!」伊藤春は即座に答えた。

彼女は今、細田仲男と離婚しているけれど、心の底から細田登美子を尊敬していて、細田芝子という妹の印象もとてもよかった。

細田家の二人の兄弟とは比べものにならないほど素晴らしい人たちだった。

今は絵里菜の会社で働いているので、これからも付き合いは避けられない。今は細田家の嫁ではなくなったけれど、登美子と芝子姉妹と友達でいることには何の支障もない。

「具体的な日にちはまだ決まってないけど、決まったら教えるわね」と芝子は笑顔で言った。

エレベーターが17階に到着し、芝子が先に降りて、伊藤春と別れた。

エレベーターのドアが閉まると、芝子は思わずため息をつき、感慨深い気持ちになった。

繁が結婚したばかりで、兄は離婚してしまった。兄嫁はあんなに賢くて有能な人で、誰もが認める存在だった。気難しい父でさえ、兄嫁のことを非常に気に入っていたのに。

兄が浮気をするなんて、まったく想像もできなかった。

しかし芝子が今思うのは、いつか必ず兄は後悔することになるだろうということだった。

……

昼時、第二中学校のバスケットボールコート。

馬場絵里菜たちは昼食を済ませ、コートサイドの石段に座って話をしていた。

コートでは、林駆、藤井空、高遠晴が他のクラスの男子とバスケをしていた。

夏目沙耶香は昨夜豊田拓海から聞いた話を絵里菜と高橋桃に伝えた。「ローズエンターテインメントっていう会社なの。新しく設立された会社で、私は今まで聞いたことがなかった」

馬場絵里菜は微笑んで黙っていた。会社が設立され運営が始まってから、彼女は最初の指示として、必ず夏目沙耶香と契約するよう会社の人々に命じていた。どうやら契約部門の人々がすでに動き出したようだ。

高橋桃は横から尋ねた。「それで、どうするつもり?新しい会社は信用できるの?もし契約した後でリソースがなかったらどうするの?」

夏目沙耶香は首を振った。実際、芸能事務所のことについては深く理解していなかったし、理解しようとも思わなかった。彼女が唯一やりたいのは女優になることだった。