夏目沙耶香は噂話が好きじゃなかったら、夏目沙耶香じゃないでしょう。
馬場絵里菜は彼女の腕を組んで、二人は歩きながら話しました。「昨日、彼が私を助けてくれたから、お礼を言いに行ったの。それで少し話をして、彼はいい人だと思ったから、友達になったの」
でたらめを言っている!
これが夏目沙耶香の今の反応でした。
少し話をしただけって?月島涼が人と話をする人なんて、死んでも信じられない。
夏目沙耶香が信じていない様子を見て、馬場絵里菜も自分の嘘があまりにも下手だと感じ、照れ笑いをしながら甘えるように言いました。「もう、そんなにたくさん聞かないでよ。とにかく今は彼と良い友達なの」
「ただの友達?」夏目沙耶香はレーダーを発動させ、眉をひそめて尋ねました。
「そうに決まってるでしょ?」馬場絵里菜は彼女を睨みつけました。「あなたの頭の中はいつもそんなことばかりなの?男女の間に純粋な友情はないって言うの?」
「ごまかさないでよ!」夏目沙耶香は言いました。「どうして二人で一緒に学校に来たの?」
馬場絵里菜:「彼も足立区の人だから」
「えっ?」夏目沙耶香は驚いて、目を丸くしました。「月島涼が足立区の人?」
まさか、あんなに品があって格好いいのに、足立区の人だなんて。
一番重要なのは、月島涼がクース王国王室で4年間暮らしていて、言い表せない気品があり、全然貧しい家庭の子供には見えないということです。
「本当よ、本当」馬場絵里菜は目も瞬きせずに嘘をつきました。
これからずっと月島涼と一緒に登校することになるかもしれないから、こう言わないと後で説明がつかなくなります。
幸い足立区はもうすぐ再開発で、その時には港区に引っ越すことになります。
夏目沙耶香は半信半疑で、何か言おうとした時、学校の放送が突然流れ始めました。
「生徒の皆さん、重要なお知らせです。市教育局主催のオリンピック数学コンテストで、本校代表チームが総合得点で一位となり、団体金賞を獲得しました」
「高校1年生1組の馬場絵里菜さんが満点で個人金賞を、高校1年生1組の馬場依子さん、高校2年生4組の河村翼さんが107点で個人銅賞を獲得しました。優秀な成績を収めた生徒の皆さんに、お祝いを申し上げます」
「本日の業間体操の時間に、菅野校長から受賞者への表彰式を行います」