第420話：もう一人は新田愛美

この件を説明し終えると、馬場絵里菜は白川昼に視線を向けた。

白川昼はそれを見て、急いで言った。「門主、他に何かご指示は？」

馬場絵里菜は意味深な表情で唇を曲げ、白川昼を見つめながらゆっくりと口を開いた。「指示というわけではないけど、月島涼以外に、私の存在を知っている人がいるのかしら？」

馬場絵里菜が疑り深いわけではない。ただ好奇心があっただけだ。結局のところ、白川昼が一人に話せるなら、二人目、あるいは三人目、四人目もいるかもしれない。

馬場絵里菜は何気なく尋ねただけだったが、白川昼は瞬時に冷や汗を流した。門主は自分を疑っているのではないかと心配になった。

そう思いながら、跪こうとする体を馬場絵里菜が素早く手を上げて制し、笑いながら言った。「あーあーあー、すぐに跪かないで。示談金狙いじゃないんだから」

白川昼は困惑した表情で、膝を曲げたまま、跪くわけにもいかず、立つわけにもいかなかった。

彼のその様子を見て、馬場絵里菜は急いで言った。「ただ聞いてみただけよ。ありのままを話せばいい。いるならいる、いないならいない。そんなに緊張することないわ。あなたに怒りをぶつけたりしないから」

馬場絵里菜はこの件をそれほど重要視していなかった。白川昼には当面他の人との接触を避けたいと伝えてはいたが、それほど絶対的なものではなかった。他に彼女の存在を知っている人がいるなら、いずれは会うことになるだろう。

白川昼はそれを聞いて、少し気まずそうにソファに座り直した。馬場絵里菜は再び口を開いた。「その表情を見ると、他にも知っている人がいるようね」

白川昼は頷き、小声で言った。「確かに、もう一人知っている人がいます」

言い終わると、馬場絵里菜の誤解を恐れ、白川昼は急いで説明を加えた。「でも門主、これは私が話したわけではありません。彼女が自分で気付いたんです」

新田愛美が碧眼の狐と呼ばれる理由は、彼女が比類なき言靈師であることに加え、狐のように狡猾で非常に鋭い性格を持っているからだ。

白川昼は元々嘘をつくのが得意ではなく、当時たった一本の電話で新田愛美に見破られてしまった。

「それに門主、この人のことは、あなたもご存知かもしれません」と白川昼は付け加えた。

新田愛美の知名度は、日本だけでなく、アジア全体でも今最も注目を集めているスーパースターだ。