「そうそう、早く座って芝子、間違えたのも縁だから」細田登美子も口を開いた。
細田芝子はそれを聞いて頷いて座った。
今日は馬場絵里菜の15歳の誕生日で、ケーキには15本のろうそくが立てられていた。進藤峰はライターで一本一本火をつけ、それから立ち上がって明かりを消し、レストランの3つの暗い小さなランプだけを残した。
「ハッピーバースデートゥーユー...ハッピーバースデートゥーユー...」
馬場絵里菜は王冠をかぶり、みんなで彼女のために誕生日の歌を歌い始めた。ろうそくの光に照らされて、一人一人の表情がとても誠実で、馬場絵里菜の心を揺さぶった。
これは彼女が新しい人生を得てから、初めての誕生日だった。
両手を合わせ、馬場絵里菜はゆっくりと目を閉じ、心から誠実に誕生日の願い事をした。
「彼女を愛するすべての人と、彼女が愛する人々が健康でありますように。災いが避けられ、悪い人々が去り、家族が平安で幸せで、グループの事業がすべて順調でありますように」
...
帰り道で、伊藤春は車を運転し、細田梓時と細田萌は後部座席に座っていた。
細田梓時は冷たい表情で、窓の外を見つめながら、心の中でますます怒りが募っていった。
ついに我慢できなくなり、フロントシートのバックミラーを通して伊藤春を見て不満げに言った。「母さん、なんで馬場絵里菜にそんな高価なプレゼントを買ったの?」
伊藤春は馬場絵里菜にネックレスをプレゼントした。古臭い金のものではなく、より高価なプラチナで、ネックレスは繊細で美しく、チェーンだけではそれほど価値はないが、重要なのは重みのあるペンダントがついていることだった。
馬場絵里菜は卯年生まれで、ペンダントは立体的なプラチナのウサギだった。
ネックレス全体で、5000元近くもした。
細田梓時の目には、馬場絵里菜は母親からそんな高価なプレゼントをもらう価値がないと映っていた。彼らの三人家族が彼女の誕生日を祝いに行くこと自体が、彼女にとって光栄なことだと思っていた。
細田梓時は細田仲男の悪影響を受けており、細田登美子と細田芝子の家族を軽蔑していることを、伊藤春は心の中でよく分かっていた。
彼女は息子のこの間違った認識を変えなければならなかった。他でもない、ただ息子の価値観が歪むのを避けたかったからだ。