第436章:ケーキを取り違えた

細田登美子は不賛成そうに首を振り、ため息をつきながら言った。「そんな高価なプレゼントは…」

細田登美子が言ったように、絵里菜がノートパソコンを必要とするなら、今の経済状況で自分で買えるはずだし、母親である自分が買ってあげることもできる。

妹の家の状況が少しでもよければ、反対もしなかっただろう。

主に細田芝子の家の経済状況が良くないため、パソコン一台を購入するには二人の半年分の給料がかかってしまうからだ。

「大丈夫よ、足立区がもうすぐ取り壊されるから、2万円くらいなら叔母さんの私でも出せるわ。それに絵里菜のためなら、少しも惜しくないわ」と細田芝子は笑いながら言った。

もう買ってしまったのだから、細田登美子も何も言えず、ただ「あなたは昔から彼女を甘やかしすぎよ、もう限度を超えているわ」と言った。

「叔母さん、僕にも一台買ってくれないの?」と細田梓時は妬ましく思い、細田芝子の側に寄って言った。

伊藤春はそれを見て、手に持っていたネギで細田梓時の頭を叩いた。「やめなさい!いつも試験で最下位なのに、パソコンが欲しいだなんて。豆腐の脳みそでも買ってあげた方がいいわね!もし絵里菜のように、毎回学年で5位以内に入って、数学オリンピックで金メダルを取って、大学入試で20点加点されるようなら、パソコンどころかロケットだって買ってあげるわよ」

細田梓時は頭をさすりながら、不満そうな顔で言った。「うちは2万円くらい困らないでしょう。買ってくれたら、きっと真面目に勉強するよ」

「前に携帯を欲しがった時も同じことを約束したでしょう。もう騙されないわよ!」と伊藤春は言った。

細田梓時はそれを聞いて、言葉に詰まり、しばらくして軽く鼻を鳴らした。「買ってくれなくていいよ、誰が欲しいもんか」

そう言って怒りながらキッチンを出て行った。

8時過ぎになってようやく全ての料理がテーブルに並び、みんな席に着いた。馬場絵里菜は細田登美子と馬場輝の間に座り、とても嬉しそうに笑っていた。

誕生日会の前に、もちろんろうそくを吹き消して願い事をしなければならない。細田芝子は冷蔵庫からケーキを取り出してテーブルに置き、リボンを解いて箱を開けた。