この時代では、デスクトップパソコンにはまだ液晶ディスプレイがなく、全てブラウン管モニターの「デカ尻」パソコンで、通称マイクロコンピューターと呼ばれ、一台数千元もしていた。
ノートパソコンもまだ薄型モデルはなく、重くて大きく、基本的に1万元以上もして、非常に裕福な家庭でしか持てないものだった。
馬場絵里菜は当然ノートパソコンを買う余裕があったが、まだインターネットが普及していない時代で、足立区のような田舎では接続権限すらなかったため、パソコンは買わなかった。
しかし思いがけず、叔母と叔父が彼女の誕生日に、パソコンをプレゼントしてくれた。
デスクトップではなく、1万元以上もするノートパソコンだった。
驚きの後、絵里菜はより一層感動した。
彼女は、叔母の家に数十万元の価値がある家を贈ったことを知っていた。ノートパソコンは家と比べれば取るに足らないものだった。
しかし重要なのは、彼女には数十万元が無数にあり、その家も実際には何の出費もなかったということだ。
でも叔母の家は違う。絵里菜は覚えていた。叔母の家の通帳には合計で4万元ちょっとしかなかったのに、1万元以上もするパソコンを彼女に買ってくれたのだ。
1億持っている人が100万使ってくれることと、10元しか持っていない人が9元使ってくれることを比べると、絵里菜は後者の方が感動的だと感じた。
「さあ、持っていきなさい。これから役に立つわよ!」進藤峰は笑いながら言った。
絵里菜は断らなかった。断る理由もなかった。なぜなら彼らは家族で、そもそも区別する必要がないからだ。
手を伸ばして受け取ると、確かに少し重かった。絵里菜は進藤峰を見て「ありがとう、叔父さん」と言った。
リビングに戻ると、このプレゼントは確かに皆を驚かせた。細田梓時でさえ目を見開いていた。
「すげえ、ノートパソコンだ!」
細田梓時は直接飛びついてきたが、さすがに勝手に開けるわけにもいかず、箱を抱えて左右から眺めるだけだった。
父親はあれほど彼を可愛がっているのに、パソコンは買ってくれなかった。なのに家で最初にパソコンを持つ人が絵里菜だなんて!
細田梓時は羨ましくも妬ましくもあった。
細田萌も羨ましくてたまらなかったが、梓時ほど大げさな反応はしなかった。
「叔父さん、このパソコンいくらしたの?」細田梓時が尋ねた。