第434話:いいよ、気に入った

井上延も驚いて、このケーキの名前は裕人のものではないのか?

「どうしたの、おじさん?」

井上雪絵が部屋に入ってきて、おじさんと思が共にケーキを見つめているのを見て、近寄って尋ねた。

頭を下げると、ケーキに絞られた文字が目に入った。

井上雪絵:「……」

間違えた!

井上思は我に返り、井上雪絵に尋ねた:「雪絵お姉さん、このケーキは裕人お兄さんのために注文したの?」

井上雪絵の脳裏にケーキを注文した時の光景が浮かんだ。自分とお兄さんが同じケーキを注文したので、このケーキの絵里菜という名前は、きっと彼の妹の名前に違いない!

井上裕人は今日深い色のカジュアルウェアを着ていて、状況を見て立ち上がって近づいてきた:「どうしたの?」

「裕人お兄さん、このケーキにはあなたの名前が書いてないわ!」井上思が早口で言った。