第449章:門を閉ざした龍栄道場

馬場絵里菜は一瞬驚いた。この東京の武道館は、みんなここに集まっているのだろうか?

「月島さま、こちらには武道場がたくさんありますね」山本陽介も気づいて、思わず口を開いた。

月島涼は軽く頷き、説明を始めた。「ここは元々東京の日本伝統武術道場の発祥の地だ。以前はここにあるすべての武道場が日本伝統武術を教えていた」

「しかし今では、君たちも見ての通り、これらの武道場はテコンドーと柔道を主に教えるようになった」

言い終わると、月島涼は「もうすぐそこだ」と言った。

さらに200メートルほど進むと、車は朱色の大きな門の前で停まった。

門前には11段の石段があり、両側には威厳のある石獅子が立っていた。

一行が車から降りると、馬場絵里菜は思わず目を上げて見た。門の上には黒い額があり、金色の漆で「龍栄道場」という四文字が書かれていた。

ただし、その文字の金漆は所々剥げ落ち、古びた様子が窺えた。

また、他の開放的な武道場と違い、この龍栄道場は門が固く閉ざされており、中庭からは何の音も聞こえなかった。聴覚の鋭い馬場絵里菜でさえ、わずかな物音も聞き取れなかった。

心配になってきた。この武道場は、もしかして廃業してしまったのだろうか?

三人が石段を上がると、龍栄道場の右側には振華道場という名の武道場があり、その入り口では柔道着を着た三人の少年が集まって話をしていた。

その中の一人が馬場絵里菜たちが龍栄道場の階段を上がるのに気づき、すぐに残りの二人に顎でしぐさを送った。

少年たちは眉をひそめて見上げ、16歳くらいの少年が思わずつぶやいた。「この人たち、龍栄道場の人じゃないな」

疑問文ではなく、断定的な言い方だった。

他の二人も確信を持って頷いた。「違うね」

そう断言できたのは、龍栄道場の弟子は両手の指で数えられるほどしかおらず、覚えられないはずがないからだった。

「入門に来たんじゃないの?」10歳くらいの子供が口を開いたが、その口調には嘲笑が満ちていた。

最後の少年は13歳くらいで、それを聞いて笑いながら言った。「冗談じゃないよ。この龍栄道場は毎日門を閉ざして、他の道場からの道場破りを恐れているんだ。臆病者もいいところさ。誰が入門するもんか」

道場破りは、武道場の間で百年近く続く伝統だった。