馬場絵里菜は一瞬驚いた。この東京の武道館は、みんなここに集まっているのだろうか?
「月島さま、こちらには武道場がたくさんありますね」山本陽介も気づいて、思わず口を開いた。
月島涼は軽く頷き、説明を始めた。「ここは元々東京の日本伝統武術道場の発祥の地だ。以前はここにあるすべての武道場が日本伝統武術を教えていた」
「しかし今では、君たちも見ての通り、これらの武道場はテコンドーと柔道を主に教えるようになった」
言い終わると、月島涼は「もうすぐそこだ」と言った。
さらに200メートルほど進むと、車は朱色の大きな門の前で停まった。
門前には11段の石段があり、両側には威厳のある石獅子が立っていた。
一行が車から降りると、馬場絵里菜は思わず目を上げて見た。門の上には黒い額があり、金色の漆で「龍栄道場」という四文字が書かれていた。