第453話:支援ではなく、借りるのだ!

馬場絵里菜は中川彰の目を見つめ、その瞳の動きを観察した。

直感的に、彼の瞳が数回光を放ち、その後静かになったことがわかった。

これを見て、馬場絵里菜は自分の言葉が彼を刺激することも、説得することもできなかったことを悟った。

案の定、中川彰は安堵の笑みを浮かべ、静かな口調で言った。「君の誠意は感じ取れるが、初級弟子からの援助さえ受け入れたくないのに、どうして君からの援助を受け入れられようか?」

馬場絵里菜はそれを聞いて、突然笑った。「援助じゃなくて、借金です!」

その一言で、ついに中川彰の表情に明らかな変化が現れた。

馬場絵里菜は知っていた。武道家は大抵プライドが高く、露骨な援助は明らかに相手の自尊心を傷つけるが、借金となると、また別の意味合いを持つ。

確かに、多少身を低くする意味合いはあるが、直接与えるよりも受け入れやすいものだった。

馬場絵里菜は続けて言った。「来年の家賃は私たちが払います。中川師匠は経営と指導に専念してください。一年後、道場の経営が改善されていなければ、中川師匠は三年以内に家賃を返してください。」

「利息については、私たち二人の授業料を免除することにしましょう。」

つまり、これは馬場絵里菜の権宜の策だった。彼女の現在の考えはとてもシンプルで、龍栄道場を復活させるという崇高な目的はなかった。ただここで武道を学び、自分の修行の壁を早く突破したいだけだった。結局のところ、東京全体で日本伝統武道の道場はここ一つしか残っていなかったのだから。

それだけのことだ。

テコンドー道場に通うわけにもいかない。確かに体を鍛えることはできるが、その修練の核心は自分の心法とは大きく異なり、まったく効果がないのだ。

十万円の家賃は、現在の馬場絵里菜にとっては些細な金額に過ぎなかった。

中川彰の心が揺れ動き、馬場絵里菜の言葉を吟味しているようだった。

十万円の家賃を貸すことで、間接的に一年間の努力のチャンスを与えることになる。道場が復興できれば、彼の努力は無駄にならない。

しかし、道場がまだ改善されない場合、借りた金を三年かけて彼女に返すことになる。結局のところ、この娘には雪中に炭を送るという恩を受けることになるが、彼女から不当な利益を得るわけではない。

そう考えると、中川彰の心は随分と楽になった。