山本陽介は二十代の成人男性で、明らかに武術を学ぶには最適な年齢を過ぎていた。
鈴木墨の視線を通じて、山本陽介は彼の意図を理解したようで、すぐに二本の指を立て、そして馬場絵里菜と月島涼を指差した。「この二人だ!」
鈴木墨は表情を僅かに変え、ゆっくりと大門を開けた。「まずは私について来てください。」
数人が順番に入ると、朱色の大門が再び閉まり、龍栄道場の様子を見物しようとしていた人々を外に閉め出した。
中に入ると、広々とした清潔な中庭が目に入った。空き地には日本の伝統武術の練習に欠かせない木人形が設置され、傍らの武器架には刀、槍、棒、斧、戟、鉤、叉など、あらゆる武器が揃っていた。
梅花杭や撒石陣など、テレビでしか見たことがない練習設備まであった。
馬場絵里菜たちは鈴木墨の後ろについて歩きながら、周囲を見渡して密かに驚いていた。この道場は門こそ閉ざされていたものの、中は別世界のように広大だった。
しかし、彼ら以外に誰も見当たらなかった。
先ほど門の外で聞いた噂は本当だったのかもしれない。この道場は本当に閉鎖寸前なのだろうか?
道場の内装も古風な様式で、龍栄道場に限らず、この周辺の道場は全てこの様式だった。これらの道場は元々日本伝統武術の道場だったため、内部構造や装飾スタイルはどれも似通っていた。
玄関ホールを通り抜けると、後ろには更に広大な練習場があり、目測で数十人は収容できそうだった。
練習場の周りには花壇が設けられ、初夏の時期で、花壇は緑と赤で生き生きとしていた。
粗布の長衣を着た中年男性が花壇の前に立ち、じょうろを手に花に水をやっていた。
「師匠」
鈴木墨はその男性の背中に向かって敬意を込めて呼びかけた。
男性は声を聞いてゆっくりと振り返り、馬場絵里菜たちは顔を上げて見た。
中川彰は今年四十二歳で、龍栄道場第十二代目館長だった。
彼は色白で、黒縁メガネをかけ、儒雅な雰囲気を漂わせ、どちらかというと学者然としており、武道家には見えなかった。
しかし彼が数人に向かって歩き出した時、馬場絵里菜は思わず眉をひそめた。なぜなら、この中川館長は足を引きずっていたからだ。
近くまで来ると、中川彰は馬場絵里菜たちを見て、鈴木墨のような警戒心を見せず、むしろ春風のような爽やかな笑顔を浮かべた。「この方々は?」