第467章:弟子たちは全員ここにいる

三十分後、馬場絵里菜は山本陽介の車に乗った。

しかし今回は、車内の温度が異様に低いことを明確に感じた。エアコンの冷気とは違う種類の寒さだった。

前席の宮原重樹に視線を向け、後部座席で自分と一緒に座っている月島涼を見て、馬場絵里菜は状況を理解した。

白川昼は前回、十二衛の面会を早めに設定しようとしたが、月島涼は馬場絵里菜に気付かれることを恐れて現れなかった。そのため、今日が宮原重樹と月島涼の初対面だった。

二人とも寡黙な性格で、言葉少なというだけでなく、表情も乏しかった。

馬場絵里菜は空笑いを一つ漏らし、助手席の背もたれに寄りかかって宮原重樹の横顔を見ながら言った。「具体的な状況は山本陽介から説明を受けたよね?」

宮原重樹は淡々と応えた。「ああ。」

彼は普段から他人の私事に関わることはなく、見て見ぬふりをすることも少なくなかったが、馬場絵里菜の命令に関しては従順に従っていた。

これは十二衛の心に刻まれた原則だった。

道のりはもともと長かったが、車内の重苦しい雰囲気が加わり、馬場絵里菜にはより一層遠く感じられた。

馬場絵里菜は雰囲気を和らげようと試みたが、この二人があまりにも会話が難しく、結局は山本陽介に話し相手になってもらい、そうしてようやく時間が少し早く過ぎるように感じられた。

北区に入る頃には昼近くになっており、龍栄道場のある通りには様々な練習着を着た生徒たちが、三々五々と歩いていた。

これらの人々は明らかに近隣の道場の生徒たちで、服装から見ると、大半がテコンドーを学んでいる人たちだった。道場は昼食を提供することが多いが、外で食事をすることを好む子供も少なくなかった。

車は龍栄道場の前で停まり、一行は前回同様に石段を上り、入口のベルを鳴らした。

前回のように長い間待たされることはなく、すぐに門が内側から開かれた。

開けたのは相変わらず鈴木墨だった。

「墨先輩!」馬場絵里菜は鈴木墨を見るなり声をかけた。

来訪者を見て、鈴木墨の顔に笑みが浮かんだ。「来てくれたんだね。さあ、入って。」

入ってから、鈴木墨の視線は自然と宮原重樹に向けられた。前回は馬場絵里菜、月島涼、山本陽介の三人だけだったが、今回新たに加わった宮原重樹は、きっと馬場絵里菜が話していた、師匠の足を治療できる医者なのだろう。