バーに入ると、中は非常に広かったが、人でぎっしりと混んでいた。
一階の正面には約10メートルの半円形のDJブースがあり、その下にはバイブレーションダンスフロア、周りには20個ほどの小さなテーブルが散在し、端には一つ一つのソファー席が設置されていた。
それだけでなく、二階にもボックス席があり、一階と比べるとかなりゆったりとしていた。
すでにナイトライフが始まる時間となり、ミューズバーは人で溢れかえっていた。頭上の点滅するライトは目が眩むほどだったが、これらの男女たちに精神的な快感をもたらしていた。
井上雪絵は相原達也について人混みを抜け、一階のステージ近くのソファー席へと向かった。
そのソファーにはすでに5、6人が座っており、年齢は16、17歳くらいで、みな裕福な家庭の第二中学校の生徒たちだった。
その中には伊藤宏と豊田東の二人もいた。
「紹介するよ。俺の妹の雪絵だ!」相原達也は井上雪絵を皆に紹介した。
井上雪絵は全く臆することなく、元々友達作りが好きな性格で、すぐに皆に挨拶した。「はじめまして。」
女の子が加わったことで、男子たちも気取ることができず、次々と立ち上がって挨拶し、その後、雪絵を中に通し、唯一の女の子と一緒に座らせた。
「本当に妹なのか?」伊藤宏は機会を見て相原達也を引き寄せ、耳元で尋ねた。
相原達也は頷き、伊藤宏とは親友だったので、彼の性格をよく知っていたため、すぐに注意を促した。「言っておくけど、彼女に手を出すなよ。お前には手に負えないぞ!」
「ちっ、脅かすなよ!」伊藤宏は気にせず口を尖らせた。
東京で自分が手に負えない相手なんているのか?
相原達也はその様子を見て、伊藤宏の耳元で何かを囁いた。伊藤宏はそれを聞いて目を見開いた。「マジで?」
相原達也はすぐにフンと鼻を鳴らした。「こんなことで嘘つく必要あるか?」
伊藤宏はこっそりと井上雪絵をもう一度見つめ、それから振り返って言った。「わかったよ。確かに可愛いけど、このスタイルは俺の好みじゃないな!」
彼は馬場絵里菜のような清純無垢なタイプが好みだった。
うん...少なくとも見た目は清純無垢に見える。
相原達也は彼を無視して、中に入って井上雪絵の反対側に座った。