第484話：嫌な男、最低だ！

人々は次々と車から降り、その中の一人は今夜の取り調べと調書作成を担当する背の低い痩せた警官だった。

数人を一目で認識し、「おや、今夜暴行を働いた連中じゃないか？これは...一体どうしたんだ？」と声を上げた。

他の者たちが状況を確認しに前に出ると、この六人全員が程度の差こそあれ怪我を負っていることが分かった。

一人は鼻が潰れ、口の中は血だらけ。

一人は腹を押さえ、手の骨が粉々になっていた。

さらに二人は体を丸めており、その下の地面には亀裂が入っていた。見るまでもなく、おそらく複数箇所で骨折していることは明らかだった。

残りの二人は、一人は両手が折られ、もう一人は両足が使えなくなっており、涙と鼻水を流しながら警察を見て助けを求めていた。

この手際の良さは見事で、ほぼ一瞬のうちに彼らの抵抗する力を奪っていた。

地面に残された亀裂を見て、警官たちは呆然とした。どれほどの力が必要なのか？この連中は一体何を経験したのか？

「とりあえず連行しよう。残りの事は署に戻ってから話そう」

副署長は厳しい表情で命令したが、心の中ではこの連中に対して一片の同情も感じなかった。

警察署を出たばかりで誰かに喧嘩を売り、手ごわい相手に出くわして、こっぴどく懲らしめられたに違いない。

自業自得だ！

「怪我が重そうですね、病院に運ばないと」と若い警官の一人が心配そうに言った。

副署長はその言葉を聞いて冷笑を浮かべた。「伊藤様の息子を殴っておいて、まだ病院に行きたいのか？」

そう言いながら手を振って指示した。「全員車に押し込め。生きるも死ぬも奴らの運次第だ」

心道：こんな連中に運なんてあるものか。

触れるたびに悲鳴を上げる怪我人たちを、十数人の警官が引きずるようにして車に押し込み、警察署へと引き返した。

……

馬場絵里菜が家に着いたのは午前三時近くだった。玄関に入るや否や、空からどしゃ降りの雨が降り始めた。

そのままソファに仰向けに倒れ込み、天井を見つめながら、頭の中は混沌とし、心は乱れて何も考えられなかった。

井上裕人の突然のキスを思い出すと、馬場絵里菜は胸が詰まる思いがした。胸の中に何かが詰まったような感覚で、もやもやとした気持ちを吐き出す場所が見つからなかった。

変態！このスケベ野郎！