他の数人は恐怖の色を隠せなかった。蹴り飛ばされた男は少なくとも七十キロはあったはずだ。どうやってそんなことができたのか?
怪物なのか?
呆然としている間に、強烈な気圧が正面から襲いかかってきた。数人が反応する間もなく、最前列の二人は喉が締め付けられ、息が詰まった。二人の首は井上裕人の手にがっちりと掴まれていた。
その手は鉄の万力のように締め付け、二人の顔は瞬く間に真っ赤になった。
井上裕人の目は狼のように冷たい光を放ち、一目見ただけで足の裏から冷気が走った。
次の瞬間、相手が恐怖に満ちた表情を浮かべる中、井上裕人は両手を上げ、二人を片手ずつ持ち上げた。
「助け...」
助けを求める言葉が口から出る前に、井上裕人は手を振り下ろし、二人を容赦なく地面に叩きつけた。
「ドン」という鈍い音とともに、道路のコンクリート面にひびが入るほどの衝撃で、井上裕人の常人離れした怪力を見せつけた。
悲鳴が上がり、地面に倒れた者たちは体中の骨が砕け散り、内臓がねじれるような痛みに冷や汗を流しながら、起き上がることもできなかった。
瞬く間に、六人中四人が倒れ、這うことも逃げることもできない状態となった。
残りの二人は足が震え、恐怖で足がすくみ、逃げ出す勇気もなく、ゆっくりと近づいてくる井上裕人を恐怖の表情で見つめるだけだった。
「あ...兄貴、話し合いましょう...」
痩せこけた不審な男が震える声で言った。この時、彼は全身が冷え切り、三魂七魄が井上裕人に恐れおののいていた。
普段から遊び暮らしているこれらの社会のクズどもは、喧嘩や暴力が日常茶飯事で、後ろ盾となる親分がいることを鼻にかけ、天下無敵のように思い込んでいた。
しかし今この瞬間、彼らは初めて本当の恐怖を知った。すべての要因を除いても、単純な力の差だけでも、彼らを恐怖に陥れるには十分だった。
「うわあああ!!!」
静かな夜に再び悲鳴が響き渡り、五分とたたないうちに、六人全員が道端でぐにゃぐにゃの泥のように倒れて呻いていた。そのハマー車はすでに姿を消し、地面には燃え尽きていない煙草の吸い殻が一本残されているだけだった。
交番の中では、二人の警官がさっきの出来事について、まだ不満げに話し合っていた。
当直室のドアが突然外から開かれ、やや太めの中年男性が尻に火がついたような様子で飛び込んできた。