第503章:子供に会いたい

センチュリーマンション団地の外の木の下に、一台のキャデラックが路肩に停まっていた。

運転席で、鈴木強はサングラスをかけて時計を見た。時刻は午前10時を指していた。

そして彼の隣の助手席に座っていたのは、他でもない馬場長生だった。

センチュリーマンションは、センチュリーグループが昨年末に分譲を開始した新しいマンションで、東京で最も高層な住宅マンションであり、馬場長生にとっても馴染みのある物件だった。

しかし、今、荘厳で気品のあるマンションの正門と、その中にある非凡な建築美を誇る住宅棟を見つめながら、馬場長生は再び鈴木強に尋ねた。「本当にここで登美子を見かけたのか?」

鈴木強は頷いた。「全部調べておいたよ。昨夜、車で団地に入ったら、登美子が男と一緒に出てくるところに出くわしたんだ。一目で彼女だとわかったよ!」

「車を止めてすぐに警備室に行って聞いてみたんだ。登美子はあんなに綺麗だから、警備員も覚えていてね。彼女はセンチュリーマンションの所有者で、最近は内装工事で忙しくて、毎日来ているそうだ!」

偶然にも、鈴木強もセンチュリーマンションで高層階の一室を購入していた。普段はここには住んでいないが、昨日は客との面会後にこの近くにいたため、一晩ここで過ごすことにしたところ、思いがけず細田登美子に出会ったのだ!

鈴木強がそう言うなら間違いないだろう。登美子のあの容姿は、人違いするはずがない。

ただし……

馬場長生は再びマンションを見上げた。このセンチュリーマンションは港区の一等地に位置しており、東京の現在の不動産相場からすると、かなりの高額になるはずだ。

登美子がここで部屋を買ったということは、つまり、彼女は今、かなり裕福な暮らしをしているということだ。

「ここであなたが買った部屋はいくらだった?」馬場長生は鈴木強に尋ねた。

鈴木強は「俺のは150平米の高級仕様で、8000万円もしなかったよ!」

そう言って、鈴木強は続けて「でも警備員の話では、登美子が買ったのは200平米のメゾネット型の未内装物件で、内装はまだだけど、俺の部屋と同じくらいの価格だろうね!」

馬場長生は心中で納得した。予想していた価格とほぼ同じだ。確かに1億円近く!内装費用を加えると、1億円では収まらないだろう。