第518話：土地を失い、一歩遅かった

白川昼は当然この理屈を分かっていたが、門主の言う「できるだけ早く」がこんなに早いとは思わなかった。

幸い、門主から任された仕事はすぐに完了していた。

「土地は手に入れましたか？」馬場絵里菜はタイミングよく尋ねた。

白川昼は笑顔で頷いた。「社長の足取りについていかないとね。昨日すでに取得しました。西部郊外の区画です。」

東京の西部郊外は国際空港へ向かう必須ルートで、遊園地を建設するなら一発で決めなければならない。市街地では適切な土地が見つからないため、郊外の土地が最適で、安くて広い。

「何平方メートル？」馬場絵里菜が尋ねた。

白川昼：「60万平方メートルです！」

馬場絵里菜は驚き、同時に心が躍った。「そんなに広いの？」

「遊園地ですからね、広めにしておかないと。後で拡張しようとしても面倒になりますから。」白川昼は説明した。

馬場絵里菜は40万平方メートル程度の土地でさえ見つけるのが難しいと思っていたのに、白川昼が60万平方メートルもの土地を交渉で手に入れたとは。

「今、会社の工事部門には何人いるの？」馬場絵里菜は考えた後、突然白川昼に尋ねた。

白川昼は表情を固くし、少し考えてから答えた。「300人に満たないです。しかも、ほとんどが東京周辺の町で募集した経験のある工事チームです。」

300人……

馬場絵里菜はこの数字を慎重に吟味した。成熟した不動産会社なら自前の工事チームを持っているはずだが、300人では全く足りない。

「じゃあ、この遊園地のプロジェクトは、やはりセンチュリーグループと協力することになりそうね。」馬場絵里菜は呟いた。

しかし白川昼は指摘せざるを得なかった。「センチュリーグループは既にMホテルのプロジェクトを手伝ってくれていますし、彼らの会社の進行中のプロジェクトもあるので、割ける人員はそれほど多くないかもしれません。」

馬場絵里菜はこれを聞いて、表情が徐々に深刻になった。センチュリーグループ以外に、東京で信頼できる不動産業者がいないからだ。

「この件は豊田おじさんと相談してから決めないと。」しばらくして、馬場絵里菜は言った。