第517章:変だね

「師匠、この渡辺ドクターはどんな薬を調合したんですか?なんでこんな強い匂いがするんですか!」鈴木墨が前に進み出て尋ねた。

この匂いといったら、薬の効果はさておき、足が治る前に人が気が狂ってしまいそうだ。

中川彰は首を振った。紙には薬膏に使用された薬材の詳細な説明はなく、ただこの匂いは確かに強烈だった。

しかし、彼は既に宮原重樹を信じることを決めたのだから、当然この薬を使わないわけにはいかない。匂いが強いなら、夜に武道場に人がいなくなってから塗ればいいだけの話だ。

「中川文、墨、この壺を私の部屋に運んでくれ」中川彰が言った。

中川文と鈴木墨は頷いて、壺を持ち上げて中川彰の寝室へと向かった。

馬場絵里菜がこの時前に進み出て、中川彰が匂いに耐えられずに薬を使わないのではないかと心配そうに言った。「師匠、渡辺ドクターは医術が素晴らしいです。彼があなたの足を治せると言うなら、きっと治せるはずです。この薬は、必ず指示通りに使ってください。」