第544章:独学

これを見て、中川彰は月島涼に向かって尋ねた。「月島、君はどうするつもり?」

月島涼は黙って馬場絵里菜を一瞥してから、小声で答えた。「私も先輩と一緒に暗器を研究したいと思います。」

この数日間の付き合いと理解を通じて、中川彰は月島が何事も絵里菜と一緒にいたがることに気付いていた。

だから彼がこの決定を下したことに、中川彰は特に驚きを感じなかった。

「よし、お前たちがそう決めたのなら、師匠も興味のない武術を強制はしない。ただし、すべては自分の安全を第一に考えて、自分を傷つけないように気をつけなさい。」と中川彰は言った。

馬場絵里菜と月島涼の二人は素直に頷いて承諾した。

正庁を出ると、外で好奇心いっぱいに待っていた他の人々が即座に集まってきた。

平野青が先に尋ねた。「妹弟子、師匠は何を話していたの?」

「武術の選択について話したんじゃない?」西野孝宏は興奮した様子で推測した。

馬場絵里菜は笑顔で頷き、手に持っている本を掲げて言った。「私と月島は暗器を学ぶことにしたの。」

皆はそれを聞いて、口を揃えて驚いて言った。「暗器?」

鈴木墨はしばらく眉をひそめて考えてから、不確かな様子で言った。「龍栄には、暗器を使える人はいないんじゃないか?」

林駆は馬場絵里菜の手から本を取り、表紙の文字を読み上げた。「宗門暗器?」

馬場絵里菜は眉を上げて言った。「確かに師匠は暗器を使えないけど、この本を研究するように渡してくれたの。」

柳澤勇気は驚いて目を見開いた。「つまり、自分で学ばなければならないということ?」

他の人々も同時に目を丸くした。独学でマスターするというのは誰にでもできることではない。しかも暗器というのは、普段はテレビでしか見られないもので、習得が容易そうには思えなかった。

馬場絵里菜も自分の言葉を控えめにして、気軽な口調で言った。「とにかく私は興味があるから、成功するしないに関わらず、試してみたいの。もし本当にダメだったら、他のことを学べばいいわ。」

皆も反対しているわけではなく、ただ馬場絵里菜のこの珍しい考えに驚いただけだった。

この事は一見簡単ではなさそうだったが、誰も彼女の意欲を削ぐようなことは言わず、むしろ皆で励ましの言葉をかけた。