第545章:再度の協力

馬場絵里菜は言葉を聞いて、ただ淡々と微笑んで言った。「豊田おじさんとこんなに長く知り合いなのに、まだ一度もご飯をご馳走したことがないなんて、申し訳ないですね。」

豊田剛は彼女の言葉が冗談めいていることを知っていたので、軽く笑って言った。「君は会社のことも学業もあって忙しいだろう。豊田おじさんは分かっているよ。それに、私たちの間柄に、そんな世間的な気遣いは必要ないさ。」

豊田剛の目には、馬場絵里菜がどんなに成功しても、結局はまだ子供なのだった。

大人の世界の虚飾や見せかけを、彼は決して馬場絵里菜に押し付けたことはなく、彼女がビジネス界で奮闘しながらも、純真な心を持ち続けることを願っていた。

馬場絵里菜は素直に頷いて言った。「分かっています、豊田おじさん。でも今日は用事があってお話しする機会に、ご飯をご馳走したいだけです。豊田おじさんも気楽に考えてください。そんなに複雑に考えないでください。」

「私たちの関係について話すなら、普段一緒に食事をすることに何の問題があるのかな?」

その口調には甘えるような非難の意味が込められており、豊田剛は降参するしかなかった。「はいはい、豊田おじさんが大げさに考えすぎたよ。」

豊田剛はテーブルの上のガラスの水差しを取って馬場絵里菜にお水を注ぎ、話題を変えて尋ねた。「それで、どんな用件があるの?会社のことかな?」

馬場絵里菜は水杯を受け取り、頷いて直接本題に入った。「私の会社で最近新しいプロジェクトが決まったんです。豊田おじさんに、センチュリーグループのご協力をいただけないかと相談したくて。」

「協力?」豊田剛は不思議そうに目を瞬かせ、馬場絵里菜の意図が分からないようで尋ねた。「どんな協力が必要なの?聞かせてください。」

馬場絵里菜は眉をひそめて少し考えてから、ゆっくりと話し始めた。「私たちは東京西郊外で60万平方メートル以上の廃棄地を購入しました。東京初の大規模な屋外遊園地を建設する予定です。」

「遊園地を建設?」豊田剛はそれを聞いて、驚いた表情を見せ、思わず目を見開いた。

心の中では東海不動産の人々の投資眼識の鋭さに感心せざるを得なかった。

自分のセンチュリーグループは、長年不動産開発に力を入れてきたが、住宅マンションの分野に留まり、他のプロジェクトにはほとんど手を出していなかった。