前回会った時にあんなにアバンギャルドな格好をしていたのも納得だ。
「それで、これから東京の高校に進学するの?」馬場絵里菜は何気なく尋ねた。
井上雪絵は頷いた。「うん、お爺さんも年だから、そばにいて一緒に過ごしたいの。だから留学はやめて、ただ学校はまだ決めてないんだけど。」
留学という言葉を聞いて、進藤隼人の目に羨望の色が浮かんだ。
「お名前は?」馬場絵里菜は相手の名前をまだ知らないことに気づいた。
「雪絵って呼んでくれていいよ。」お互いの距離を縮めようと、井上雪絵は賢く愛称で呼んでもらうことにした。
馬場絵里菜は頷いて、続けて言った。「私は第二中学校で、新学期から高校2年生になるの。うちの学校はいい学校だから、考えてみてもいいかもね。」
そう言いながら、隼人を見て付け加えた。「弟の隼人は市立第一高校にいるの。多分東京で一番教育レベルが高い学校だと思うから、そこも考えてみたら?」