馬場絵里菜は笑って黙っていた。この女の子は面白いと思った。
「順番待ちですか?」井上雪絵は皆に尋ねた。
馬場輝は頷いて答えた。「今来たばかりで、店員さんが30分ほど待つと言っていました。」
井上雪絵はこれを聞いて、チャンスが来たと思った。このチャンスを逃すなんてバカげている!
「じゃあ、一緒に食べませんか?」井上雪絵は遠慮なく誘いを出した。
馬場輝は驚いた表情を見せた。相手が突然一緒に食事に誘うとは思っていなかったようだ。
たった一度会っただけなのに、こんな唐突に一緒に食事をするのは少し突飛すぎるかもしれない。
しかし、井上雪絵のあの純真な顔を見ると、きっぱりと断ることはできなかった。
どう切り出そうか考えていると、井上雪絵がまた口を開いた。「お兄さんは前回私を助けてくれたのに、病院に連れて行かせてくれなかったし、服と医療費も払わせてくれませんでした。今回の出会いも縁ですから、ご飯をご馳走させてください。」