第614章:宮原重樹、戦いに参加

そのとき、馬場絵里菜は自分の考えをより確信した。

おそらく、この雷の能力があまりにも強力すぎるため、彼は一度に一つの技しか使えないのだろう。

先ほど天雷を召喚した時も一度に一つしか落とせず、そして今、カールたちを守るために防護壁を形成することしかできず、同時に天雷で反撃することはできなかった。

これも雷という超常的な能力の欠点と言える。一度に一つの技しか使えず、他のことを同時にできないのだ。

月島が一撃を放つと同時に本体を現し、雷は絶好のタイミングを見計らって、瞬時に防護壁を消すと同時に、再び天雷を落とした。

「ドン」という音とともに、先ほど月島がいた場所には大きな穴が開いた。その穴は、カールたちからわずか2メートルの距離にあった。

そして月島は、すでにその場から姿を消していた。

そのとき、ずっと観察を続けて機会を窺っていた宮原重樹も動き出した。彼の少し長めの黑髪が風もないのに揺れ始め、次の瞬間、カールたちの周りに刺激臭のある濃い煙が徐々に立ち込めてきた。

その濃煙は突如として現れ、不気味な深緑色を帯びており、見ただけで猛毒を連想させるものだった。

この瞬間、いつも表情を変えない雷の顔にも明らかな変化が現れた。

相手四人が、それぞれ常人を超える能力を持っているとは?

彼でさえも、この状況は少々手に負えないと感じ始めていた。

今回のカールたちの任務目標は井上雪絵を拉致することで、雷の目標はカールたちの安全を守ることだった。

だから今、月島涼と仲間たちの中で、雷は軽重を知っていた。すぐさま手を振り、広がりつつある毒気を払おうとした。

カールたちも本能的に息を止めた。月島と宮原重樹に対して、彼らが国際的なトップクラスの殺し屋であっても、まったく太刀打ちできないことを知っていた。

まるで、人間と神との差のようだった!

助けになるどころか、明らかに雷の足かせとなっていた。

そのとき、月島は再び絶好のタイミングを見計らい、不気味な影の下で再び攻撃を仕掛けた。

しかしこの一撃は、カールたちではなく、雷に向けられていた。

明らかに、月島も雷の能力の欠点を見抜いていた。仲間を守ろうとすれば、自分の弱点を晒すことになるのだ。