第617章:「焔」組織の頭目

宮原重樹と山本陽介も眉をひそめ、冷たい態度の井上裕人に視線を向けた。まさか東京で出会うとは思いもよらなかったようだ。

馬場絵里菜は頭がぼんやりとしており、井上裕人の言葉を聞いてますます混乱した。彼女は全く聞いたことがなかった。

しかし、今の彼女を唯一安心させたのは、雪絵が無事に井上裕人の元に戻ったことだった。

ずっと緊張していた神経がようやく緩んだかのように、馬場絵里菜は目の前のものが徐々にぼやけていくのを感じ、周りの世界が崩れ落ちるように感じられ、体も浮いているような感覚になった。

数秒間耐えた後、馬場絵里菜はついに目の前が真っ暗になり、気を失ってしまった。

月島涼は急いで崩れ落ちる馬場絵里菜の体を支え、月のように冷たい瞳に心配の色が浮かび、宮原重樹を見上げた。