佐藤は言葉を聞いて息を吐き、頷いて言った。「それならよかった」
佐藤は龍国人で、今年九歳。見た目は無害で可愛らしい美少女だが、実は驚異的な実力を持つ小さな魔女であり、'焔'組織の最年少メンバーである。
暗殺機関掃討作戦の発起人は、かつて国際ランキング一位の伝説の殺し屋、血月。現在はアジア三大組織の一つ、龍国紅蓮会の会長であり、本名は澤田観月だ。そして澤田観月は、佐藤の姉なのだ!
つまり、二年前の暗殺機関掃討作戦に参加した時の佐藤は、たった七歳だったということだ!
二年前のあの大戦で、雷は佐藤の手に惨敗を喫した。しかし、当時の佐藤にはまだ幼心が残っており、雷を殺さずに見逃してやったのだ。
だからあの夜の襲撃の後、井上裕人は部下から異常な行動能力を持つ人物の描写を聞いて、すぐに雷の正体を察知した。
そこで佐藤に連絡を取り、古い対戦相手と直接会わせることにしたのだ。
結果は予想通り、佐藤の一撃で勝負がついた。おそらく能力の相性が悪かったのだろう。雷の攻撃は佐藤の前では全く無力で、勝機は微塵もなかった。
これが、雷が佐藤を見た時にあれほど恐怖した理由だ。
「裕人お兄ちゃん、今日会ったあの人の能力、とても面白いわ。私たちの仲間に誘わない?」佐藤は輝く瞳で井上裕人を見つめながら提案した。
彼女が言う面白い能力の持ち主とは、明らかに山本陽介のことだった。
二人が現場に到着した時、ちょうど山本陽介が最強防御術'玄亀の盾'を使用していた。あの薄緑色の巨大な亀の甲羅は、とても強そうに見えた。
井上裕人は微笑んで言った。「むやみに人を誘うわけにはいかないだろう?私たちは善良な組織じゃないんだからね」
'焔'組織は簡単には新メンバーを受け入れない。だからこそ井上裕人が組織を設立してから今まで、組織の最大人数はたった八人だった。暗殺機関掃討作戦で一人が死亡し、現在の組織人数は七人のままだ。
「だって面白いんだもん!」佐藤は小さな頭を揺らしながら、真剣な表情で言った。
井上裕人も山本陽介の能力は面白いと思っていた。焔組織のメンバー全員が特殊能力を持っているわけではないので、能力者に出会えるのは確かに貴重だった。